Entries

戦中・戦後の建設機械と機械化施工の備忘録

○まとめ記事

・戦後の復興作業に従事したチハ達のお話
http://t.co/XU726koo"




○建設の機械化誌バックナンバー

〝(一社)日本建設機械施工協会 | 文献検索システム 〟
http://jcma.heteml.jp/bunken-search/

若しくは

〝国立国会図書館デジタルコレクション - 建設の機械化〟

を参照のこと


○1951年10月 ブルドーザ特集
・国産ブルドーザの発達経緯
・小松ブルドーザの話

○1951年12月 掘削機特集

○1959年05月
・「座談会」--建設機械の生い立ち--戦時中の回想
・「座談会」--建設機械10年の歩み
・「座談会」--建設機械化施工10年の歩み

○1961年08月
民間における機械化施工変遷の一断面
民間における機械化施工の変遷について


○1969年1月~9月
・建設機械の昔ばなし(全9回)

○1979年5月
・沖縄米軍基地建設の機械化施工の想い出

○1983年1月
・新春随想 海軍施設機械あれこれ










家曳屋の仕事

ー印象に残っている仕事

普通の業者が無理といった建物が専門だった。
どの仕事も簡単ではなかった。


ー納期
概ね10日~2週間。仕事が終わるまで無休。土日祝祭日も関係なしで一気に片づける。
終わると、次の仕事を受注するまで休み

ー人数は
親方と職人数名が常雇い、手元は必要に応じて集める
建物の大きさは関係なく、1~2名が手動ウインチを扱うと動く

ー道具について
ジャッキは特注のネジ式ジャッキ、ピッチが細目で微操作が出来る。
油圧や空圧もあるが、ネジ式がいい。信頼性がある。

ー他社との違い
他は未だに樫コロだけど、うちは軽便鉄道のレールと自作のコロ軸受けを使ってる。
だから、1~2人でも家曳ができる。

技術を盗みに来た業者もあったが、日曜に移動させて月曜の朝には新しい場所に座らせた。
「なんで仕事が終わってるのか」って聞くから「掛かったら一気に片付けるんだ。技術を盗みに来てるくせに休むほうが悪い」って言い負かしてやった。

ー廃業理由
歳だから。もう体が思うように動かない。怪我をする前に店を畳もうと思った。引き合いはあるが、断っている

河村正弥

河村正弥

 明治39年10月 岡山に生る
 昭和5年3月 東大工学部卒業
 日本特殊鋼株式会社入社
 兵器の設計研究に従事
 昭和17年 工学博士
 昭和22年 東京大学教授
 昭和27年 日本特殊鋼に復帰
 ブルドーザの製造研究
 昭和33年 日特金属工業常務
 今日に至る
 
 NTK ブルドーザ物語 1967

 昭和42年5月31日印刷
 昭和42年6月15日発行

 著者 河村正弥

 印刷所 重化学工業通信社印刷部
 発行者 日本特殊鋼金属株式会社
 発行所 東京都田無市3011番地

結語

これまで永年に渉って社内新聞に連載し、まだ今後もしばらく継続する予定であるが、この辺で一応打ち切って1巻にまとめた次第である。


各種各様の建設機械の開発研究にこの十数年を過ごしてきた筆者とその共同者の苦心の記録であり、ブルドーザに関係する人々には必ずご参考になると思うが直接関係は少なくても新しい機械の開発にはどんな苦心が伴ったり、特許問題などで競争会社からどんなに妨害されるかの一例としては、湿地ブルの特許紛争は珍しい大事件であるだけにご参考になると思う。


昭和42年1月7日 擱筆

湿地用三角履板高裁事件の争点(昭和41年12月 )


写真73 道路を傷めぬ平滑履板


写真74 滑り止めの脱着式の図


写真75 道路を傷めぬための道路板をグローザーシューに被せた状況

これまで高等裁判所で十数回に渉って準備審が開かれ原告、被告双方から準備書面を提出し論争が次第に核心に触れようとしている。裁判で双方の主張が陳述される場合、主張の食い違いを争点と呼び、この点が議論の中心になる。


原告たる日特金側は数々の証拠文献を提出して米国特許は日特の湿地用履板の発明とは個別の特許であると主張している。

1、米国特許は普通のトラクタと明瞭に書いてある。
2、普通のトラクタが何んで湿地に入れると言うか。
3、米国特許の1920年頃は沢山の貨車を連結牽引していた時代であり、貨車を牽引して湿地が走れる筈がないではないか。
4、グルーザーシューでは道路が傷んで仕方がないから道路をゴム板で歩き、悪い道路で取り付けらる歯を発明したのである。この歯の断面形状が三角形であったに過ぎない。
5、発明者自身が脱着式の歯と呼びV形の頂点で歩くと言っている。湿地に入る考えはまったく持っていない。
6、トラクタが湿地に入るという観念は1931年頃に現れたもので1920年には全くなかった思想である。
7、普通のトラクタは接地圧が高いから湿地には入れぬ、本件特許発明は低接地圧だから湿地に入れ、三角形の2面で泥を搗き固めて展圧するから泥が履板に付着しないので牽引力が出る。

   と主張している。これに対して敵側は次の様に反論する。

1、本件特許明細書には履帯の巾について記載していない。
2、既に三角形の履板が公知である以上、湿地に入るために巾を広くすることは設計上極めて容易なことで特許に値しない。
3、頂点で歩くものだと原告は主張するが軟らかい泥の所では頂点だけでなく三角の2面まで泥に接することは当たり前である。
4、断面が三角形なら泥を搗き固める作用があることは当然である。
5、米国特許はどろんこ道やどろんこの原を走ると書いてある。湿地と同じである。

   と主張するこれに対してこちらは次のように反論する。

1、湿地用と称する以上低接地圧であることは当然であり、履板の巾は広いのが常識である。
2、米国特許の履板を広巾にしようとしても車両そのものが湿地用でなければ取り付けることは出来ない。単なる設計上の問題ではない。
3、巾の狭い高接地圧の履板では断面が三角形でも泥を搗き固める作用はない。硬い心土の上を走るものである。
4、どろんこ道は必ず下層に固い地層があるもので湿地とは違うのである。米国特許のトラクタが湿地に入れば沈没して動くこともできない。全く違うではないか。

   反論する、正に甲論乙駁であり、判事や裁判長がなんと判断されるかが問題である。

結局2つの発明が同じものであるか否かを比較することになる。
この様な場合それぞれの発明が技術的に何を解決しようとしたかを比較し之が違う場合には個別の発明と見るべきであるというのが過去の大審院判決の教えるところである。


そこで米国特許は技術的に何を解決しようとしたかが問題の核心になる。1920年頃といえばスチームエンジンの乗ったトラクターが走っていた当時でガスエンジンやガソリンエンジンの現れ始めた時代である。無限軌道の履板の歯が道路を傷めるのが大問題になって各種の履板および履板アタッチメントが発明された。写真73に示す平滑履板(フラットシュー)は道路を傷めぬための履板である。、歯が無いと田舎の凸凹道やどろんこ道で牽引力が出ないので田舎道に来たら写真74に示すような脱着式の歯をボルト2本で取り付けることが発明された。

問題の米国特許は良い道路はゴム履帯で走り、悪い道路は金属製のカバーを取り付ける。発明者は之を脱着式の歯と呼んでいる。この歯の頂点が地面に接してグルーザーの働きをする様に企図(きと)したものである。


同じ頃、写真75に示す様な道路板(ストリートプレート)と呼ばれる鋼板プレス製のアタッチメントも発明されている。良い道路を走る時にはグルーザーシューに被せて歯が道路を傷めない様にし、悪い道に来たら之を脱して歯をむき出しにする発明である。米国特許の裏腹の発明であるが道路を傷めぬように考えた根本思想は非常に良く似ている。これが米国特許の解決しようとした技術問題である。


湿地で沈没しないように、スリップしないように発明された本件特許発明とは全然個別の発明であることは疑いの余地がないというのがこちらの主張である。裁判官がはたしてどちらに軍配を上げるか。この紛争事件は高裁や特許庁でも有名な事件になっているので成り行きが注目されている。

Appendix

プロフィール

Big Muski

Author:Big Muski
土木機械写真貼はサーバトラブルで消滅しました。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR